初ミシンへのメモ。

ミシン初心者のメモ。その他 気になることもメモ。

ミシン針の思い出

ミシン針と言えば、小学生の頃 家庭科で初めてミシンを扱う授業があった時、

ちょっとした出来事があったのを思い出した。


その日は初めてのミシンの授業で、みんな わくわくしながら数少ないミシンの順番を 待っていた。


その少ないミシンのうちの一台を使おうと 苦戦しながら準備している子がいて、

様子を見つつ待っていると、突然 パキッという音がして ピンッと光るものが弾け飛んだ。


また折れたー、もうやだーー。」と、その子が叫ぶ


一緒に準備を手伝っていたクラスメート

ちょっと、わたしの針まで折らないでよっ!!」と悲鳴を上げた。


学校指定の裁縫箱には、新しいミシン針が一本ずつ入っていて

みんな それぞれ自分の針をセットして ミシンを使うことになっていたのだ。


えええ、どうするんだろう。と思っていると、ふいに その子が こっちを見た

嫌な予感がした。


そして、わたしを見ながら近づいてくると言った。


ミシン針、ちょっと貸して。持ってるでしょ、針。

えっ。


持ってるけども。


折られる予感しかしなかったので言葉に詰まっていると、教室がふいに静かになり

みんなが固唾をのんで こっちを見ているのがわかった。


持ってるでしょ? それ貸して。
「・・・。」
わたしが黙っていると、


「折れたら弁償するから、早く貸して。」

と、いらいらしたように手を出した。


弁償してくれるんなら・・・」と言って渡すと、その針をさっと掴んで ミシンへ戻り

今度は折らないから
と針をつけて動かした その瞬間 グニャッと曲がるのが見えた。


またしても静まり返る教室

その子は曲がった針を何事も無かったかのように外すと、「はい、返す。」とわたしに渡した。


ええええええ!? と思ったのが顔に出たのだろう。

悔しそうに「ちゃんと弁償するんだから、いいでしょ。」と席へ戻っていった。


後日、ちゃんと針を買ってきたらしく、新しいのを返してくれたから良かったけど

ごめんの一言くらいは言ってほしかった。


という小学生の頃のことを、昨日のことのように思い出した

当時使ってた裁縫箱の中には、折れた針などを保管しておく小さな筒状のプラケースがついていた。


まさか と思って開けてみると、曲がったミシン針が入ったままになっていた。

まさにタイムカプセルだ。


わたしは その針を眺めた後、またそっと戻して そのまま蓋を閉じた